ヨルノサンポ団の日記

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"風邪に抗菌薬は必要か3"(医学のつぶやき23 るーにー)

さて、ここまで抗菌薬は風邪にいらないということを永遠と語ってきたわけであるが、ここまで読んで抗菌薬はいらないんだと思った読者の方々。ちょっと待ってほしい。筆者が出した情報だけで判断するのは安易である。本当に正しいかどうかはまだまだわからない。きちんと自らの中のフィルターに通して客観的に判断していただくことを願う。

 

筆者は適正使用を願っているグループなので、使わないような論文を紹介するのだが、、、

 

まず、風邪に対する一律の抗菌薬は利益より副作用が上回るとも言われている。利益が上回るならまだしも、副作用が上回って、薬剤耐性菌を作っていてはオワコンである。

まず、成人での抗菌薬による副作用はプラセボ群(プラセボ群とは、薬を飲んだという精神的効果によって効く可能性があるので、なんの効果もないものを薬ですといって飲ませた人たちのグループのこと。要はうどん粉こねたもん飲ませたみたいな感じ)よりも、2.6倍ほど副作用が起きやすくなる。(Cochrane Databases 2013;6)

対して、非特異的な気道感染に対して抗菌薬が肺炎による入院を減らすNNTは12255である。NNTとは治療必要患者のことであり、1人助けるのにその治療を何人にして効果が出るかということである。つまり、「咳があるんですといってきた人に対して脳死で12255人に抗菌薬を出して初めて1人の肺炎を助けることができる」ということを言っているわけだ。

 

割に合わないと思わないか?

 

ただし、医師は気をつけないといけない点がある。それは、高齢者は風邪をひきにくいのだ。過去1ヶ月の急性気道感染症の有無を調べたデータでは高齢者になるほど、症状を持った人の割合は有意に減っていく。また、高齢者というのは、体の予備能力も落ちているので、当然ここは慎重にならないといけない。筆者は、高齢の方に「風邪です」と言われるととんでもなくドキドキする。風邪という表現はあくまでしんどいというだけの意味合いの可能性もある。もしかすると、のどが痛いと思っているけど、実はその周囲の血管が避けている痛みかもしれない。だから、心筋梗塞かもしれない、くも膜下出血かもしれない、、、とか少し頭に入れないといけない。そういう意味でも高齢者の風邪は怖い。

 

では、次回からは対症療法に対しての薬はどうか。つまるところ市販の風邪薬を飲むべきかについて語っていきたい。