ヨルノサンポ団の日記

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5月15日 コロナの影響で公演を中止にした話(主宰)

本当に今更なのだが、ちょうど2か月前の3月15日に本番を予定していた演劇の公演を中止にした話を書く。なぜこの話を今書くか、ということには一応理由があって、今になって、本当に今になってやっと「ああ、あの公演はもうやれないんだな」という実感が湧いてきたからだ。

 

僕らは今年の3月15日に旗揚げ公演をやる予定で、本番1週間前の3月8日に公演の延期を決めた。当時は日本でもコロナウイルスの感染が始まった時期で、公演をやっている団体と中止にする団体が半々くらいだった。直前まで決断に迷ったが、メンバーと話し合った上で中止という決断をした。すでに予約をしてくれている人もいたし、決断した後は何とも言えない喪失感が強かった。ただ正直に言って、自分の中では中止というより延期という感覚があって、7月ごろに内容をブラッシュアップして、リベンジしてやると思っていた。

 

だけど、2か月経って、あのときやろうとしていた作品は、2度とやれないだろうなと感じる。今考えていることはあの頃と全く違っていて、やりたいことも変わってしまった。もし同じ作品をやるにせよ、大幅に書き直すだろうなと思う。もちろんそれは、いつ出しても良いような強固なものがつくれない自分の未熟さもあると思うけれど、ナマモノの表現である演劇ってそういうものなのかなとも思う。

 

だからなぜだか、2か月前の公演がなくなった喪失感を、今になって強く実感している。みんなにダメ出しされながら人生で初めて書いた脚本も、稽古場で「お客さんに伝わるかな?」と頭をひねりながらつくったくだりも、誰にも見てもらえないんだなあと今更思う。別にそんな大層なものをつくっていたわけではなくて、50分くらいのくだらないコントだったんだけど、それなりの時間と熱量をかけて準備していたから。

 

しかし、今になってこんな風に感じるなんて思わなかった。自分はコロナの影響で仕事を失ったわけでもないし、自分より大変な思いをしている人が大勢いることは分かっているけど、やっぱり悲しいことは悲しい。みんな多かれ少なかれ、今回のことで何かを失っているんだと思う。だから、他の人に対して「そんなこと大したことじゃない」とうかつに言わないようにしようと思う。