ヨルノサンポ団の日記

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"精神的不調は指導者に必要か?2"(医療のつぶやき28 るーにー)

さて、前回の鬱病双極性障害を伝えた。今回は、これらの症状と実際にいた指導者の話をしていきたい。

 

0.普通とは?

ところで、普通とはなんなのであろうか。当然精神医学とは、普通から外れたと思われる人々をみるものであるので、あまり考えられてはこなかった部分がある。しかし、過去に様々な性格試験において平均点を出す人間のことを「ホモクリット」と定義した。こういった人は、幼少期に大きな葛藤なく過ごし(例えば、親同士の仲が悪くて悩むというような経験)、権威に従う部分があるが、隷属的とまでは言えないという特徴がある。要するに、「普通」ということである。以下では、ホモクリットという言葉を用いながら、精神疾患とリーダーシップについて考えていきたい。

 

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1.チャーチルチェンバレン

1940年ごろに2人の政治家がイギリスにいた。上の写真を見てどなたかご存知だろうか。チャーチルチェンバレンである。2人ともイギリスの元首相である。当然首相になるくらいだから頭脳明晰であることは間違いないと思うが、歴史ではチェンバレンはよく非難される立場にある。それは、「チェンバレンの宥和政策」というものにある。

これは、当時侵略を開始しようとしていたアドルフ・ヒトラーに対して、相手の主張をある程度受け入れながら外交を進めていくものであった。ソ連へドイツが目を向けるという意味合いもあったようだが、結果としてドイツ軍の侵略を許すこととなり、現在では外交の典型的な失敗例として語られる。

ドイツ軍のノルウエー作戦の阻止に失敗したことを受けチェンバレンは辞任。その後任となったのがチャーチルである。ここからチャーチルはドイツに対して以前から主張していた通りにドイツに対して強硬な姿勢をとりイギリスを第2次世界大戦の勝利国に導くのである。

ただ、間違ってはいけないのはチェンバレンが決して無能ではないということだ。例えば、女性・子供の労働時間制限の法律や、有給休暇関連法、家賃統制などの法律を制定しているのだ。そして、チャーチルも途轍もない神であったわけではないということだ。第二次世界大戦前と大戦後のいずれも政治家としては決して成功したとは言えない。また、世界大戦中についても、言論弾圧の強化といった、今の日本じゃ真っ青なことを行なっている。

さて、そんな同じ時代を受けた2人の政治家に今日はスポットを当てたい。

 

2.チャーチル

実はチャーチルを研究したり、直接診察したりしたと言われる医師から、彼は双極性障害だったのではないかと言われている。特に2型と呼ばれるもので、軽い躁状態と重い鬱状態を繰り返していたと思われる。多くの著書を残しノーベル文学賞を受賞した原動力が軽い躁状態からきたのか。そして鬱状態を経験すると人は現実を見つめる力が強くなると言われている。彼の鬱状態の経験が世界大戦におけるヒトラーという存在を現実的に見つめることができた可能性がある。また、チャーチルは鬱の治療としてアンフェタミン、すなわち覚醒剤を使用していたと言われているし、アルコール依存症もあったと言われている。つまり、彼は双極性障害覚醒剤アルコール依存症と決して精神的に普通とは言えない人間なのである。

 

3.チェンバレン

ところが、チェンバレンには特にそういった素質は見当たらない。彼は典型的なホモクリットであったのだろう。人間というのは、失敗などの恐ろしい現実から目を逸らすようにできている。彼の失敗はヒトラーというホモクリットでない人間に対して、宥和政策をしき、徐々に破綻していく現実から修正が効かなくなってしまったことである。決してチェンバレンが無能なわけではないのだ。

 

4.the inverse law of sanity

では、なぜ第2次世界大戦前にチャーチルは台頭してこなかったのか。これはthe inverse law of sanity と言われるものではないだろうか。すなわち、平和な時代という時にはホモクリットで有能な人間がリーダーシップを取るほうが上手くいく。しかし、混沌な時代において、多数の混乱因子があり、尋常ではないストレスがかかる際にはノンホモクリットの人間が強くなるという逆転が起きるというものだ。

 

さて、これがチャーチルチェンバレン以外でも見られることを他の例を出して確認していくことにしよう。