ヨルノサンポ団の日記

演劇集団のゆるい日記!twitter(@yorunosanpo0315)も!

医学のつぶやき1(るーにー)

劇団のブログの第1弾としては驚くほど不適切だと思うけど、仕事が医療だし、分からないことを書くよりはマシだと思うから、医学のつぶやきをしていく。

最近コロナウイルス(COVID-19)で世間は色々と騒いでいるわけだが、テレビで医療に関係ない人の適当な発言やらなんやらを見ているとやや悲しい気持ちになる。一方で、医療関係者がきちんと知っていることを発信することが大事なのかなとも思う。

 

なので、時々、医学論文から、普段の生活に役立ちそうなものをピックアップして紹介しようと思う。

 

”MIlk and Health”New Engl J Med, Feb. 13, 2020

この論文は、ハーバード大学の公衆衛生のDr達による牛乳と健康の総説である。

私は、小学生の時から決して大きい方ではなく、今でも身長は170cmにギリギリ届かない。どこぞの雑誌に男は身長170cmがmustであると書かれていてガックリした思い出もある。父親は180cmあるから、なぜ大きいのか聞いたときに「牛乳を沢山飲むと骨が作られるから」とよく言われたものであった。また、「牛乳は健康にいいから沢山飲みなさい」ということは、一般的によく言われていることであろう。

この論文を紐解き、いくつかピックアップすると以下のようなことが書かれている。

 

・思春期に牛乳飲むと身長が増加する。ただし、カルシウム摂取で骨塩量は増えない。

・思春期に牛乳をコップ1杯/日飲むごとに、高齢時の大腿骨近位部骨折のリスクが9%ずつ増加する。

・牛乳摂取と、骨折、肺塞栓症(エコノミークラス症候群)、癌(前立腺癌、子宮内膜癌など)と関連がある。

・死亡率と蛋白源の関係:加工肉>卵>牛乳>魚>鳥>植物

 

思春期に牛乳を飲むと身長が増加することは確かなことのようだ。これは、栄養が十分である先進国でも起きることである。ただし、カルシウムを摂ったからといって骨の量が増えるということはないようであり、なぜ身長が伸びるかはよく分からないようだ(成長ホルモンとの関連が予測はされている)。

じゃあ、飲めば飲むほど健康になるかというとそんなことはなく、身長が大きくなると、骨折のリスクは上昇するようである。あれか、てこの原理的な問題で、骨にかかる力が大きくなるのか?その他、ある種の癌の発生率の上昇などとの関連も指摘はされている。ただ、牛乳を飲めば死にやすくなるかというと、そういう報告とそうでない報告がありなんとも言えない。ただし、長い目で見たときに死亡率が上がると主張している論文でも低脂肪乳とチーズに関しては死亡率は変わらないと言っている。

人間の生活にタンパク質は必須であるけれども、それを何から摂るのがいいのかも書かれている。加工肉が大腸癌のリスクを増やすことは(医療業界では)有名だけれども、死亡率もしっかりと上昇する。鶏肉とか、植物からタンパク質を摂るのが健康にはいいようだ。牛乳はなんというか真ん中くらいらしい。

 

どこぞの偉い人が何かが昔、足が短いことを言われたときに「必要な足の長さがあれば十分だ」と言ったとか聞いたことがあるけど、今更ながらいいこというなと拍手。

だからと言って牛乳がダメなものと言っている訳ではない。今後もいうことにはなるけど、結局、過ぎたるは及ばざるが如しであり、適切な摂取が重要ということであろう。