ヨルノサンポ団の日記

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医学のつぶやき7(るーにー)"結局のところ布マスクって効果あるの?"

さて、最近話題のマスクについてです。4月1日に政府は、以下の方針を発表しました。

医療機関にサージカルマスク(いわゆる不織布マスク)を1500万枚配布。

・来週にはさらに追加で1500万枚配布予定。

・各家庭には布マスクを2枚ずつ配布。

こうなってくると、布マスクって有効なの?という話になってくる。今回は最近旬の話題なこともあって、2本の論文を手短に紹介する。

まず、1本目は"A cluster randomised trial of cloth masks compared with medical masks in health care workers"(BMJ Open. 2015;5(4):e006577)である。医療従事者にとって、布マスクとサージカルマスクって有効性どうなのよ、という今知りたい論文第1号であろう。医療従事者を、ずっとサージカルマスクつけとく群、ずっと布マスクつけとく群、普段通り頑張ってもらう群に分けて、その後感染症に感染するかをみたものである。結果は下のデータの通りである。

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結果としては、サージカルマスクよりも、布マスクの方が13倍近くインフルエンザ様症状を発症している。基本的に日本の医療業界で布マスクを採用しているところはあまりないと思う(少なくとも思いたい)。これにはこういうデータが背景にあるわけだ。個人的には普段通り普段通り頑張っている群で3倍なのもどうかと思うが、、、

 

以上から医療者にとって布マスクはサージカルマスクと比べて劣っていると言い切っていいだろう。

 

続いて、"Optical microscopic study of surface morphology and filtering efficiency of face masks"(PeerJ. 2019;7:e7142)は、発展途上国では布マスクがよく使われているが、どれくらい粒子の透過率が下がるのかという研究である。これは、大気汚染に対しての研究であるため、今回話題のウイルス感染症とは少し様相が異なる(粒子の大きさが異なるため、同一では扱いにくい)。ただし、いい画像と布マスクの洗濯に関しての結論が書いているため記載しておく。まず、布マスクとサージカルマスクの顕微鏡で見たときの違いは下記の画像の通りだ。

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A-Fが布マスク、GHIがサージカルマスクのそれぞれ内側、中側、外側である。また、洗濯をすることによる変化は以下の通りである。

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洗濯をすればすれば、大気汚染粒子を通しやすくなることが示されている。これは、洗濯を続けることによる繊維が短縮することによって、隙間が増加することによる。ただし、間違ってはいけない、布マスクを洗濯するとは一言も言っていない。ウイルスがついたままで、それをベタベタ触ってしまう方がよくない。

 

上記2点をまとめると

・医療者にとってはサージカルマスク>布マスク

・洗濯をすると布マスクの効果は落ちる

 

ここからは私見

 

あえて、医療者にとってはとまとめたのは、街を歩いていると不適切なマスクをしている人が多いと思うからだ。鼻を出したり、顎に引っ掛けたりとこれでは効果がない。だから、一般人にとって、サージカルマスクが布マスクと比較して有効と言い切るまではいかないと考えられる。

また、日本人はマスクが非常に好きな様だが、それ以上にしっかりと手洗いをして、外出中には顔を触らないことを意識してほしい。コロナウイルス接触感染を起こす。常に自分の手は汚れているのだ。

政治的なことはよくわからない。布マスク2枚が社会的にどういう効果を持つかは不明だ。ただ、知っておいてほしい。今、病院では1週間にマスクは1枚の配給でやっている。病院にはコロナウイルスの患者さんよりも色々な種類の患者さんがいる。そう、上の論文で書いてある様に、サージカルマスクを綺麗な状態で常につけていないと、感染のリスクは上がるのだ。コロナウイルス以外の患者さんのことも考えてほしい。