iphone6sが水に浸かったという事実を冗長に描いてみた。 るーにー
iphone6s(防水加工なし)が水没した。
1日ぶりに病院から出ると夏の日差しが照りつけていた。明け方まで雨が降っていたためか、道端には所々に水たまりができており、京都特有の熱気と雨上がり後の湿気が身を包んでいた。
往来に出て、待っていると友人から「いまどこ?」と連絡がきた。「病院前」と返し、携帯をポケットに入れようとすると、入らない。ジーパンのポケットの左には財布が、右にはキーケースが入っている。ジーパンのポケットに物は一つしか入らないというのは鉄則か。
その日はたまたまジーパンを履いていた。ジーパンを病院で履くのはイマイチかなと思っているが、洗濯をし損ねることがあるとジーパンのシフトがやってくるのだ。
すると、向こうのほうから紺色の車がやってきた。車は持ち主の女の趣味を表すとよく言ったものだが、あいつは小柄な女が好みだったっけ。
運転席のあいつが右手を挙げるのを確認して、助手席に潜り込んだ。ついでに携帯は膝の上に置き、背負っていたリュックは足元へ。
「久しぶり」
「同じ病院にいても、なかなか会えないな」
「飯スーパーで買って、つまんで解散するか」
車は西へ西へと進んでいく。
「車持ってても乗るか?」
「実は引っ越したんだよ。ちょっと安くて広いところに」
「でも、京都で車は不便だろ」
そんな他愛もない話を楽しむたった30分。気がつけば車はスーパーの駐車場についていた。
「適当に止めるわ、、、少し曲がって入ったな、入れ直すわ」
「車の運転とか全くしないから、駐車できるだけですげーよ」
「レジ袋金かかるし、リュック持って行ってや」
「はいよ」
リュックを持ち、助手席から降り立った。そのまま、スーパーに行き、アイスと飲み物やらを購入した。スーパーから駐車場に戻る途中でいつも通り時間を確認しようとポケットを弄った。
「ん?」
携帯がない。落としたか?確か膝の上に置いて、、、車から降りたから、、、少し早歩きをして、助手席側の地面を見ると、携帯が落ちていた。いや、正確には浮いていた。水たまりの中に。
周りを見渡しても水たまりは駐車場に数カ所もない。携帯が浮いている水たまり自体もそこまで大きくない。後30cmほどずれて落ちていたら、水に浸かることはなかっただろう。慌てて拾い上げると、11時14分の文字は見えた。
こういう時に重要なことは慌てないことである。
すぐさま携帯電話の電源をオフにし、カバーを外して水気をリュックに入っているタオルで即座に拭き取った。
携帯電話自体が水に浸かって潰れることは非常に稀である。正確には、「水が入った状態で電気が流れてショートする」か「通電性の不純物が入った状態で電気が流れてショートする」から、携帯電話は故障するのだ。つまり、まずは慌てずに電源を落とす。これですぐに携帯電話が潰れることは避けられる。
「携帯電話水没したわ」
「えええええ。大丈夫か」
「大丈夫やろ」
「相変わらず、感情に起伏がないな」
「とりあえずドラッグストアに連れて行ってくれ」
そのまま車に乗り込み、近所のドラッグストアへ向かう。ドラッグストアでは、密封性の高い袋としてジプロックを、布団や衣服用の乾燥剤を購入した。乾燥剤は塩化カルシウムと活性炭の成分の物を選んだ。理由は特にない。
ここで、悩まなくてはいけないことが一つある。それは、「もう一度携帯電話を水につけるかどうか」である。先ほども述べたとおり、携帯電話が潰れる原因は二つある。「水が入った状態で電気が流れてショートする」か「通電性の不純物が入った状態で電気が流れてショートする」かである。後者の不純物を洗いながすために、一度水につけることも考えるのだ。ただし、水道水にも不純物は入っているし、完全に洗い流せるとは限らない。何より心理的抵抗が大きい。
今回は再度水につけるのはやめておこう、、、そう考え、乾燥剤と携帯電話をジプロックにつめ封をした
あとは、数日電源をつけずに中の水分が抜けるのを待つしかないのだ。ちなみに自然乾燥でも1日程度で水は抜けるようだが、梅雨であることを考慮して、乾燥剤という非常手段を用いた。
あとは、携帯の中に不純物が入って回路が焼けないことを祈るだけである。こればかりは運なのだ。まあ、復活する可能性は7割程度だろうか。
そして、今日3日がたった。ジプロックをあけ、乾燥剤を取り出し、中にあるiphone6s(防水加工なし)の電源をゆっくりと入れた。
おかえりなさい。
でも、そろそろ新型に買い換えたいな。