ヨルノサンポ団の日記

演劇集団のゆるい日記!twitter(@yorunosanpo0315)も!

医学のつぶやき8(るーにー)"知っているか、タバコにだって体に良い面があるんだぞ?"

さて、2020年4月1日に改正健康増進法が施行され、屋内での喫煙が禁止となりました。主催のブログで度々登場していることで、お気づきかとは思いますが私はとんでもなく過激な人間でございます。それゆえに、店内でバカスカ当たり前のように喫煙をしている集団を見ると、貧乏ゆすりをしてしまいます。冗談です。まさか、劇団の中の雰囲気を知ってもらうために始めたはずのブログでこんな感じで紹介されることになるとは、、、

さて、喫煙が体に悪いのは周知の事実です。どうして悪いか、どれくらい悪いかまで割と証明されています。国立がんセンターのwebにいい画像がありました。レベル1というのは因果関係が証明されている病気です。

 

f:id:yorunosanpodan:20200403030334p:plainこれでもかというくらいになりやすくなる病気が並んでいます。癌と心血管系の病気で日本の死亡原因の半数を占めていますから、どれだけ寿命が縮まるか感覚的にもわかります。さて、そんな中団員から変わった質問が飛んできました。「タバコの良い点を医学的に紹介してくれ」と、、、

社会的に良い面は考えられなくもありません。例えば、アメリカで1920年代に禁酒法を施行したところ、ギャングがはびこり治安が悪くなったということがありました。これをタバコに対して同じように当てはめることができなくもない。タバコで税金をたんまり取れるとか、、、医学的に良い点は、、、これが一つだけあるんです。簡単に紹介しましょう。

“Transdermal nicotine for active ulcerative colitis”(NEJM 1994 Mar 23;330(12):811-5)です。「経皮的ニコチンパッチは潰瘍性大腸炎に効く」というものです。これは、潰瘍性大腸炎という、大腸炎に炎症が常に起こり、血便などが出る病気がニコチンパッチによって72人に対して症状が改善したか調べたというものです。これを引き合いに、潰瘍性大腸炎にタバコが効くとよく言われます。

個人的には以下の点から、これでタバコが潰瘍性大腸炎に効くというのは言い過ぎと考えます。まず、72人で人数が少ない。実際にタバコを吸ったわけではなく、あくまでニコチンパッチである。とはいえ、これを採用しないと医学的にタバコの良い点が証明できないのでやめておきましょう。

ちなみに一時期アルツハイマー認知症に効くという論文が出て、タバコの良い点の2大巨頭が潰瘍性大腸炎アルツハイマーの時代がありましたが、この論文はタバコ販売会社からの賄賂が発覚して今では否定されています。

最近調べると、タバコも年々進化していっているようです。少しでもニコチンを届けるためにアンモニアを混ぜたり、女性子供が吸いやすいようにフレーバーをつけたりしているようです。敵さんもなかなかやるな。

とはいえ、禁煙は難しい。マークトゥエインが”Giving up smoking is the easiest thing in the world. I know because I’ve done it thousands of times”といっていますが、禁煙はその後の人生で一度も吸わなくて始めて禁煙と言います。因みに電子タバコは禁煙に入りません。(また、電子タバコが有害というブログ書きます)

喫煙はいつでもやめられる、とか、禁煙できないのは気合が足りない、とかいう発言を聞くこともありますが、全く科学的とはいえません。喫煙というのは、側坐核という脳でいう報酬系に回路を作ります(一度回路が作られたら障害消えませんし、多分タバコの進化のおかげで1本でも容易に回路を形成しうると考えていますが、証拠はありません)。人間というのは、報酬系にはかなわない動物です。当たり前の話です、嬉しいと楽しいと思うことをしよう、そう思わないことはしないようにしよう、という原則が崩れたら人は何にしたがって行動しているんだ、という話になるわけですから。ですから覚醒剤や麻薬に更生施設が必要なのも当然ですし、個人的にはやめようと思う人は禁煙外来というものを受診することを勧めます。禁煙外来にかかるお金と将来の入院費+タバコ代+浮いた時間で作れるお金を比較すれば、禁煙外来なんて安いものかと。

とかとか言ったって結局禁煙は難しい。