トンボっていい奴じゃん
小さい頃から何回も見てきた。
実家にあったビデオテープは擦り切れてしまってもう何も映らない。
それなのにテレビで放送していたら思わずまた見てしまう。
みなさんもきっと同じだろう。
お気に入りのシーンは映画の序盤。
ラジオを聴きながらほうきで空を飛ぶところ。
いくつ歳を重ねても、子供のようにワクワクしてしまう。
そう、すなわち「魔女の宅急便」だ。
この間、仕事から帰るとテレビでやっていて、上記のごとく夢中になって見てしまった。
この映画の中に僕が知らないシーンなんてない。しかし、歳を重ねるごとにその見え方は変わるようだ。
今回は何が変わったか。
メガネのあいつ、「トンボ」だ。
僕は小さい頃、キキに恋していた。
元気なことと、髪が短めなのが幼心にグッときてた。
だからトンボは「好きな人に近づくチャラ男」としか見てなかった。なんだこのクソメガネ。空を飛ぶとか適当なこと言ってんじゃねぇぞ。誰がお前とパーティーなんて行くか。チャリで2ケツとかいい加減にしろ。そう思ってた。
しかし大人になったらわかる。
あいつはめちゃくちゃいい奴だ。
パーティーに来なかった女の子に「雨で大変だったんだろう?」なんて優しい言葉かけられるだろうか。これを言える男が果たしてこの世に何人いるのやら。
思えばヘッドにプロペラが付いた自転車なんて最高にイカしてるじゃないか。
そして、ちゃんとキキを友達の輪に入れようとしてくれる。
そらモテるよ、お前は。
素直で、全てを受け入れて、一片の悪意もない。
そして思う。
もう僕はトンボの様には生きれない人間になってしまった。日付変わって月曜日。
溢れんばかりの下心をスーツで隠して今週も僕は仕事に行きます。
ヨルノサンポ団 藤代
p.s
一回でいいからジジと話してぇ